差別化が難しいガス事業で単月売上137%
共通言語の確立とKPIマネジメントの融合により大きく成長

エネジン株式会社

業種

電気・ガス・熱供給・水道業

従業員数

221名

静岡県を拠点とするエネルギー事業者のエネジン株式会社。法改正により価格競争が制限される環境変化の中、カクシンのコンサルティングセールス研修を導入し、約半年間で研修参加部署の単月売上を約1,000万円向上(137%)。既存のKPIマネジメントと組み合わせることで提案の質を飛躍的に向上。「特長」「利点」「バリューテンプレート」といった共通言語の確立が組織全体のコミュニケーションを変革し、価格競争に依存しない営業スタイルへの転換に成功している。

エネジン株式会社×株式会社カクシンインタビュー

担当コンサルタント

インタビュー対象者

藤田 源右衛門氏(代表取締役社長)

エネジン株式会社のトップとして経営全体を統括。KPIマネジメントの導入や研修への参加を通じて、組織変革を牽引。

安藤 章雄氏(取締役専務執行役員)

研修の事務局を担当し、参加者の進捗管理やフォローを実施。現場での変化を間近で観察。

長澤 大輔(カクシン トレーナー)

成果にコミットするコンサルティングファーム「カクシン」のトレーナーとして、エネジンのコンサルティングセールス研修を担当。

1. 価格競争からの脱却を迫られた転換期

法改正がもたらした業界の地殻変動

藤田氏

「我々は条件勝負がどんどんエスカレートしていて、逆に言うとどんないいことを言っても条件で負ければ受注できないという状況でした。」

エネジン株式会社の代表取締役社長 藤田氏はそう振り返る。

エネルギー業界において、ガスや電気といった生活必需品を扱う同社は、長らく価格を軸とした競争を続けてきた。しかし、業界の法律改正により、価格による差別化に制限がかかることに。

藤田氏

「ちょうどたまたま業界の法律が改正されて、条件勝負ができませんよという中で、この研修がはまったというのもあったと思います。」

この環境変化は、同社にとって大きな転機となった。価格以外の要素、つまり「価値」で勝負しなければならない時代が到来したのだ。

インタビューに応じるエネジン株式会社藤田社長【株式会社カクシン事例インタビュー】

インタビューに応じる藤田社長

2.研修成果:単月売上が137%成長

2025年2月から8月までの約半年間のプロジェクトで、研修参加チームは大きな成果を達成した。

12チームが受講し、各チームの研修受講前後の単月実績を比較したところ、驚くべき変化が見えてきた。

単月売上合計は研修前の2,762万円から研修後は3,787万円へと37.1%向上

※この数値は受講生の自己申告の数値であり、正確に測定しているものではありません

項目

単月売上合計(12チーム)

研修前

¥27,623,442

研修後

¥37,872,648

変化率

+37.1%

株式会社カクシンコンサルティングセールス研修:エネジン株式会社の研修前後の単月売り上げ比較グラフ

研修前後の単月売上比較グラフ

藤田氏

「研修を受ける前は、訪問の回数や担当者の愛嬌、スピード対応、小回りが効いた営業などの抽象的な話しかできなかったんですけど、それがニーズの裏のニーズや特長と利点に代表される共通言語で語れるようになってきました。」

提案の「質」が変わったことが、この数字に明確に表れている。

3. KPIマネジメントと研修の融合が生んだブレイクスルー

行動量から「質」へのシフト

エネジンでは以前からKPIマネジメントを導入しており、「訪問」「面談」「提案」「見積もり」「受注」という営業活動の各段階を数値で管理していた。

藤田氏

「成果を上げるために元々取り組んでいたKPIマネジメントに、カクシンの研修を当てはめると大きく成果が上がると考えました。」

カクシンの研修を行う前、藤田氏には課題意識があった。

藤田氏

「行動量は数字で確実にチェックできていましたし、コンバージョン率が低ければどう掘り下げて改善するか、成功事例があれば横展開しようなど、そこまでは対応できていました。しかし、その先が課題でした。提案自体の質や考え方について、量的な面はともかく、質的な面をどう向上させるかという点は、KPIマネジメントを何年も実践してきた私自身も指導で行き詰まりを感じていたのです。」

訪問件数を2倍にすれば成果も2倍になるという単純な話ではない。かといって、提案の質を上げるといっても、「できる人はできる、できない人はできない」という属人的な状況から抜け出せずにいた。

共通言語が組織を変えた

研修が進むにつれ、組織内に変化が現れ始めた。

藤田氏

 「これまでの営業活動では、営業に関する考え方や用語の共通基盤が欠けていました。この研修を通じて『特長』『利点』『価値』といった言葉の定義を全社で統一できたことが大きな変化です。その結果、社員間や上司と部下の間でも同じ認識に基づくコミュニケーションが可能になり、これが非常に重要な成果だと考えています。」

取締役専務執行役員の安藤氏も現場での変化を実感している。

安藤氏

 「リテール営業推進課では、リーダーを中心にホワイトボードを使って、研修で得た知識を取り入れながら、チームメンバー全員に丁寧に説明している姿を見ると、『これが研修の成果なのだろう』と感じました。」

こうした自主的な学びの場は、会社からの指示ではなく現場から自然発生的に生まれたものだった。

エネジン株式会社:ホワイトボードを使った朝のミーティング【株式会社カクシン事例インタビュー】

ホワイトボードを使った朝のミーティングの様子

4. トレーナーの伴走が生んだ「腹落ち」

一般論から自社商材への落とし込み

研修を担当したトレーナー 長澤の役割も大きかった。

長澤

「どうしても動画だけでは一般論になってしまいがちです。汎用性を持たせる必要があるからこそ、そうなるのは避けられません。ですが、各企業様の商材やサービスに具体的に落とし込んで『御社の場合はこんな感じになります』と伝えると、多くの方が『なるほど』と理解してくださるんです。」

ガスや電気といった生活必需品を扱う同社にとって、「価値」を訴求するという概念自体が新鮮だった。

藤田氏

「我々は生活必需品を扱う会社なので、宝石のような価値説明が必要な営業をしてきませんでした。しかし長澤先生から価値について具体的なポイントを教えていただき、それが非常に良かったと個人的にも感じています。これまで自社の価値を深く考えることはあまりなかったのですが、価値を金額に換算するといった具体的な手法が皆の腑に落ち、それが真剣な取り組みにつながったのではないかと思います。」

「やってみた」ことが信頼を生んだ

長澤は他社との違いを指摘する。

長澤

「エネジンさんが他の会社さんと違うのは、学んだことを実際に試してみたんだと思うんです。ちゃんとお客様に対して。他の会社さんの場合、このヒーローメイクを『実際にお客さんに話してみました』と言っても、ほとんどが空想の仮説を書いているケースがあります。」

実際の顧客に対して学んだことを試し、効果を実感できたことが、研修内容への信頼を高めた。特にオープニングトークでは大きな変化があった。

藤田氏

「これまでは様々な説得話法を持っていましたが、そもそもお客様に話を聞いてもらえるか、ドアを開けてもらえるか、心を開いてもらえるか、あるいはすぐに心を閉ざしてしまうお客様にどう対応するかが課題でした。オープニングトークやエレベータピッチを工夫したことで、お客様が心を開いてくれるようになりました。」

5. バリューテンプレートの徹底活用

研修の成果が最も顕著に表れたチームではバリューテンプレートの質を高めていた。

安藤氏

「特に成果が出ていたチームは、バリューテンプレートを非常に効果的に活用していました。彼らはガスの開拓部分で特に悩んでいたのですが、我々が長年培ってきた強みをこの企画の中で明確に表現しました。そして、その価値をどのようにお客さんに効果的にアピールするかという点で、この科学的手法をうまく取り入れて成功したのです。」

藤田氏は「バリューテンプレートをきちんと完成させることができれば、もっと売れる!」と指示。チームはこの指示を徹底的に実践し、効果的な提案の型を作り上げた。

エネジン株式会社バリューテンプレート活用イメージ【株式会社カクシン事例インタビュー】

バリューテンプレートの活用イメージ

※機密情報につきモザイク加工をしております

価格から価値へ、提案の軸が変わった

藤田氏

「やはりガスの新規受注に関しては、これまで相手がこう動けば我々はこう対応し、相手が次の一手を打てば我々も対抗する、というような価格競争の戦いでしかありませんでした。しかし、法律によって価格に上限が設定されたため、これ以上価格で勝負できない。そうなると、もう質で勝負するしかないのです。」

価格で戦えなくなった状況で、研修で学んだ「ニーズの裏のニーズ」や「特長と利点」といった概念がはまった。

藤田氏

 「研修を受ける前は、『訪問回数が多い』とか『担当者の愛嬌がいい』とか『対応が速い』とか『小回りが効く営業』といった、抽象的あるいは表面的な話しかできなかったんです。しかし今では『ニーズの裏のニーズ』や『特長と利点』といった概念を使って、的確に価値を伝えられるようになってきました。」

6. 成功を支えた3つの要素

素直な企業文化

長澤は同社の特長をこう語る。

長澤

「成功の秘訣という意味では、エネジンさんの社員の方々の素直さが1番だなって思います。」

この素直さは、研修内容を実践に移す上で大きな力となった。藤田氏も認める。

藤田氏

「学んだことをまずはそのとおり実行するっていう文化ですね。」

この成功の背景には、「環境整備」と呼ばれる5S活動や早朝勉強会など、日常的な学習と実践を重視する企業文化が根付いていた。毎朝15分間の掃除や整理整頓、週1回30分の経営計画書に関する動画学習とレポート提出といった地道な取り組みが、新しい研修内容を受け入れる肥沃な土壌を育んでいたのである。

エネジン株式会社:環境整備活動の様子【株式会社カクシンインタビュー】

環境整備活動の様子

経営陣の強いコミットメント

藤田氏自らが全セッションに参加し、前後でコメントを発信したことも大きかった。

長澤

「社長自らセッションに参加してくださって、(セッションの)前後できちんとコメントしてくださっていた。藤田さんが見てるんだなっていうのが受講生全員がわかる状態なので、良い意味での緊張があり、すごく良かったと思う。」

また、報酬制度との連動も効果的だった。安藤氏は語る。

安藤氏

「社長は常に頑張った分の成果と報酬を結びつけています。今回の場合もKPIというのは翻ると賞与に直結する、と。KPIを達成しないと成績が上がらない。成績が上がらないと賞与が増えない。そこをきちんと理解し、成果を上げようと考える社員は特にこの研修をうまく利用してKPIを達成させようと考えると思うんです。」

事務局の細やかなフォロー

安藤氏の事務局としてのフォローも成功の要因だった。

藤田氏

「安藤がしっかりチェックしてくれたことも非常に重要だったと考えています。例えば、『動画の視聴期限は3日間で、未視聴の方はこちらです』とか『宿題を提出していないのはこの人たちです』というように、チャットワークで適切にフォローアップしてくれました。こうした細やかな進捗管理が、非常に効果的だったと思います。」

このきめ細やかな進捗管理により、「結局なんだかんだ皆さんついてきてくれた」状態を実現できた。

インタビューに応じるエネジン株式会社安藤専務【株式会社カクシン事例イタンビュー】

インタビューに応じる安藤専務

7. 提案の質が変わった

オープニングトークの劇的な改善

長澤

「オープニングについては、成果発表でも多くの方が言及していたと思いますが、それが恐らく最も分かりやすく変化した部分ではないでしょうか。」

特に新規開拓において、ドアを開けてもらう、話を聞いてもらうための導入部分が大きく改善した。

チームごとの多様な成果

藤田氏

「部署ごと、あるいは個人によって効果の現れ方が異なると思います。特長と利点だけで大きな気づきを得た人もいれば、オープニングではなくエレベーターピッチに可能性を見出した人もいるでしょう。」

組織全体として共通言語は獲得しつつも、各チームや個人が自分たちの業務に最も適した要素を取り入れていった。

日常的な振り返りへの浸透

長澤

「社員さんたちの日常会話や様々な振り返りの中で、『特長と利点』や『バリューテンプレート』といった言葉が自然に出てくるようになりました。この共通言語があることで、同じ認識のもとで議論や振り返りができるようになった点は大きな成果だと思います。」

研修で学んだことが、単なる知識ではなく、日々の営業活動の中で活用される実践的な武器となった。

8. 外部支援を活用する価値

科学的アプローチの重要性

安藤氏は研修を通じて実感したことを語る。

安藤氏

 「私は以前、営業にはこういった体系的なセオリーはないと思っていました。しかし今回の研修を通じて、営業にも科学的に裏付けられた明確なセオリーが存在することを初めて実感しました。」

「できる人はできる、できない人はできない」という属人的な状況から、再現可能な方法論へ。この転換が組織力の向上につながった。

理論と実践の橋渡し

藤田氏

「やはり提案の質と面談の質を向上させるしかないんです。でも、どうやって向上させればいいのか。できる人はできて、できない人はできない。そこで思考が止まってしまい、せいぜいできる人の真似をする程度でした。このように科学的な理屈として、しっかりとした理論に基づいて説明してもらえると、『ああ、そういう方法があったのか』というところが、多くの社員の腑に落ちたのではないかと思います。」

外部の専門家による体系的な理論と、それを自社に落とし込むトレーナーの伴走。この組み合わせが効果を生んだ。

エネジン株式会社研修の担当コンサルタント株式会社カクシン長澤【株式会社カクシン事例インタビュー】

カクシン 長澤

9. 今後の展望と課題

実践への定着が次のステップ

藤田氏は次のフェーズを見据える。

藤田氏

「次のフェーズは実践をいかに継続するかということです。日々の提案や営業活動が、カクシンで学んだことに沿っているかどうか。本人の意識も重要ですが、それが実践できているかの報告方法や、上司によるチェックの仕方も大切です。また、振り返りを通じたアドバイスが的を射ているかどうか、この学びを実践の繰り返しにどう組み込んでいくかが課題です。」

学んだことを継続的に実践し、組織に定着させる仕組みづくりが課題となっている。

マネージャーの役割強化

長澤は次のフェーズのポイントを指摘する。

長澤

「結局、社長がおっしゃっていたように、これを継続していくとなったとき、個人の意思や裁量だけでは続けていくのは非常に難しいと思うんです。そこで重要になるのは、マネージャーやリーダーの方々が、しっかりとこれを追跡し、持続可能な形に導いていくことです。」

生成AIの活用可能性

さらに、新しい取り組みとして生成AIの活用も視野に入れている。

長澤

「やはり生成AIの活用方法が重要だと考えています。結局、お客様にどれだけ向き合い、対峙できるかが大切なので、その時間を多く確保できる企業が成功すると思うんです。例えば、バリューテンプレートや提案書の作成・見直しにかかる時間をAIで短縮し、その浮いた時間を顧客との対話に充てている企業が、現在伸びているのです。」

藤田氏も、AIを活用した営業トークのチェック機能に関心を示している。

藤田氏

「日頃の提案活動や営業活動の話し方が、実際にカクシンで学んだ内容に沿っているかどうか。この部分を生成AIにチェックしてもらえるような仕組みがあると良いのではないかと思います。」

成功の秘訣は、リーダーシップと文化、そして実践へのこだわり

エネジンの成功事例から見えてくるのは、研修というツールをいかに活用するかは、結局のところ組織の文化とリーダーシップにかかっているということだ。

素直に学ぶ姿勢経営陣の強いコミットメント事務局の細やかなフォロー既存の仕組み(KPIマネジメント)との統合実践への強いこだわり――これらの要素が有機的に結びついたとき、研修は単なる知識習得を超えた、組織変革の触媒となる。

長澤の言葉が印象的だ。

長澤

「最初のセッションでは、正直あまりしっくりきていなかったんです。『これはピタッとはまっている』という感じはまったくなくて、『この研修は一体何だろう』という雰囲気が漂っていました。しかし、KPIマネジメントの話やエネジンさんに沿った具体例のお話をさせていただくようになってからは皆さんが関心を示すようになり、その変化は私自身も強く感じていました。」

研修を自社の文脈に落とし込み、実践につなげていく。そのプロセスこそが、約半年で単月売上137%へ成長という真の成果を生み出したのだ。

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音声解説

Audio created with NotebookLM by Google.

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